今年10月、神原汽船の主事業である日中定期コンテナ船サービスが開設30周年を迎えた。福山港などの日本の地方港と中国の主要港をダイレクトに結ぶこの事業は、今や中国だけでなく東南アジアや中東・インドなど十数の国や地域にある60以上の港をつなぐネットワークを形成している。
日本の地方港から中国、そして世界へ。物流を通して“地域の発展に貢献する”という信念を実現してきた、日中定期コンテナ船サービス30年の軌跡を振り返る。

1994
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日中航路 開設
1995
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阪神・淡路大震災 流通が滞っていた被災地周辺の港から物流を支援
2000年代
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2001
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中国がWTO加盟 市場アクセスが向上し流通拡大
2008
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独資での日中間単独運航 開始
2013
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自社船SKYシリーズ2隻竣工 VEGA(織姫)・ALTAIR(彦星):1,020TEU
2017
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自社船ALLOWシリーズ3隻竣工:1,020TEU 台湾・フィリピン・ベトナム 流通拡大
2022
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自社船EARTHシリーズ6隻竣工:1,100TEU
2024
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(10月)日中航路開設30周年
航路開設、地方港をつなぎ命をつなぐ
1994年、中国船社と共同して定期コンテナ船の日中航路を開設。当時、地方港発着のコンテナ船は認知も低く経営は簡単なものではなかった。そんな中翌1995年、阪神・淡路大震災が発生。近畿圏の主要港は流通がストップし、物資が届かない事態に陥った。そこで地方港をフル稼働し被災地周辺へ物流を支援したことで、地方港ネットワークの有用性が一気に知られることとなった。
日中航路開設当初は「Dolphin Line」と命名された。
(1994年の社内報から)
環境保全と人材育成への取り組み
2022年、常石造船と協力し環境配慮型コンテナ船を就航させた(EARTHシリーズ 6隻)。「持続可能な社会の実現を海運から支える」というビジョンのもと、現在は国際的な環境規制に先駆けて脱炭素やグリーン燃料の搭載に取り組んでいる。
加えて、事業のこれからを担う人材の育成にも力を入れる。まだまだ人数が少ない女性船員の活躍向上をかかげ、働き方、職場環境などを整備しながら将来的に女性船員全乗(世界的にもまれ)での運航を目指す。

神原汽船㈱ 定期コンテナ船部 部長兼執行役員長谷川 康幾さん
神原汽船の主事業である日中定期コンテナサービスは、関係各所の皆様のご協力とご支援により30周年を迎えることができました。開設以来「地域の発展に貢献できる」と信念を持ち、多くの顧客と信頼を築きながら、中国と日本の地方港を結ぶダイレクト輸送を今日まで続けてまいりました。
近年は脱炭素化およびグリーン燃料搭載など環境配慮にも取り組み、これからも経済性と環境保全の調和を目指して邁進します。
今後は、日本発着のサービスに留まることなく、世界の成長センターであるアジア域内で貢献できる“アジアの船社”としてサービスを模索していく所存です。
神原汽船は、常石グループの祖業である海運事業に誇りと責任を持ち、より一層の企業価値向上に努めてまいります。